山岸俊男教授・着任記念シンポジウムを開催いたしました

2014/06/20

この4月から一橋ICSに特任教授として着任された平成25年度文化功労者顕彰者 山岸俊男先生を歓迎し、「研究総合大学」としての研究機能強化を図るという一橋大学のミッションを具現化していく一環として、5月26日(月)、研究科主催の記念シンポジウムを開催いたしました。
当日は百名を超える参加者を迎え、活発な議論がなされ、非常に活気あるシンポジウムとなりました。

シンポジウムでは、以下のような内容の講演がなされました。
「文化が違えばものを見る見方が違うし世の中を理解するしかたも違ってくる」というのは、誰でも知っていると思い込んでいる常識ですが、この常識に潜んでいる問題点を抉り出すというのが講演のテーマでした。 いわゆる日本文化が生み出した日本人の特徴―例えば他者一般に対する信頼の欠如やリスク回避傾向の強さなど―を "文化の違い"として一言で片づけてしまえば、グローバル化が生み出す新しい世界に対する個人の生き方や組織の対応を考えるにあたって、大きな制約がかかってしまいます。心の文化特定性を中心的に扱う学問である文化心理学では、人間や社会をどのような視点からとらえるかという"文化的自己観"が、認知や知覚、あるいは 信念や態度などのさまざまな心のはたらきを作り出していると考えています。
つまり、人々はすでに歴史の産物として存在する文化を内面化することで、それぞれの文化に特有の心の働きを身につけるという理解です。これに対して、山岸教授が講演で紹介した一連の実験研究の結果は、そうした文化特定的な心のはたらきの多くが、人々の行動パターンが生み出す特定の社会に対する適応の道具であると同時に、そうした道具の使用がその社会の性質を生み出してもいるという意味での、"社会的ニッチ構築"のプロセスに埋め込まれていることを示しています。この視点からは、文化とは私たちに"与えられたもの"ではなく、私たち自身が"創り出すもの"として理解できます。こうした、文化とは自分たちで作り出すものだという視点は、これからの私たちの生き方や組織の在り方を考えるにあたって、大きな自由度を私たちに与えてくれるはずであり、今後の日本企業のグローバル化戦略を考える指針となるものです。