ソートリーダーシップ特別講演会を開催しました

2015/04/28

一橋ICS主催ソートリーダーシップ特別講演会として、3月から4月にかけ、海外から著名な研究者に来校いただき、現在取り組まれている研究を本学研究者に向けて発信して頂きました。


(1)3月16日(月)、サービス・マネジメントおよびサービス・マーケティングの領域で世界的に高名な研究者であるテキサス州立大学教授レイモンド・P・フィスク氏をお招きし、本学研究者に向けた講義を行いました。


概要は以下の通りです。


近年、世界経済はますますサービス化する一方で(成熟国、成長国の別なく、GDPや労働人口の7割、8割を占める国が増加の一途を辿っている)、「製造業のサービス化」や「モノのインターネット化」など、製造業とサービス業の垣根はどんどん曖昧となりつつあります。「価値創造」に関する経営論理を読み解こうとする「サービス・マネジメント」および「サービス・マーケティング」の研究領域では、企業が顧客に対して価値を一方向的に提供する「グッズ・ドミナント・ロジック」から、企業と顧客が共に価値を作り出す「サービス・ドミナント・ロジック」へと、「価値づくり」をめぐる展開が変化しています。
こうした背景を踏まえ、講演内容としては、フィスク氏が長らく取り組んでこられたサービス研究の概要、現在の発展状況、今後のお課題や機会に関する紹介をいただきました。
参加者とのQ&Aセッションによる活発なインタラクションにより、講演時間は予定の120分を15分ほど超過しました。終了後は、和やかな懇親会も行われました。


(2)4月15日(水)には、文化心理学の分野で日本と北米の心理プロセスの研究を展開している増田貴彦博士(アルバータ大学心理学部)によるご講演を実施しました。今回の講演では、増田博士が長らく取り組んでこられた文化と注意研究の概要、及びビジネス場面での人物の感情評定などについての最新の知見のご紹介をいただきました。


その要旨は以下の通りです。


近年、北米の社会心理学者が中心となって研究を進めている文化心理学―言語学・心理学・人類学・神経科学の学際的分野―では、東アジア文化圏の人々の思考様式(包括的思考様式)と北米文化圏の人々の思考様式(分析的思考様式)には体系的な違いがあり、社会的認知・意思決定のプロセスにも大きな差を生み出しています。こうした理論的枠組を用い、増田博士はそれぞれの文化圏で主流の思考様式は、知覚、認知、注意、記憶、そして眼球運動など基本的な心理プロセスにまで影響を及ぼすことを証明しました。たとえば、日本人はアメリカ人やカナダ人に比べ、コンテキストを重視した判断をする傾向があり、こうした傾向が絵画・写真をはじめとした視覚的表象にも見られることを報告しています。
こうした文化心理学的手法を用いた研究に取り組むことは、国際的な視野から本学の研究の幅を広げるひとつの重要な方向性を示唆しています。本講演会では、増田博士と本学研究者との自由闊達な議論を実施でき、本学に足りない知識・知見を補完する非常に意義深いものとなりました。